長期金利低下のメリットとデメリット

先週、日本の長期金利が過去最低の0.265%にまで低下しました。長期金利とは、貸出期間が1年以上の債権に適用される金利のことで、10年物の日本国債が長期金利の代表的な指標とされています。
普通に生活していく中では、あまり気にすることもない指標だと思いますが、実は、貯蓄をしたり、借金をしたりする時には大いに関係してきます。

まず、なぜここまで長期金利が低下したのかの理由ですが、日銀が異例の金融緩和を進めているために大量の国債を購入していることが一つの要因です。国債を購入して金融市場に資金を供給することによって経済を活性化させようとしているのです。国債は日本の借金ですから、それを日本のお金を発行している中央銀行が買い取ること自体が禁じ手に近い政策なのですが、そこまでしないとデフレから脱却することができないのが今の日本経済の現状です。

もう一つの要因としては、国債が安全な資産と見なされていることです。世界の金融市場に出回っているお金は、元本保証の金融商品ばかりに投資されているわけではありません。株式や社債や商品先物取引など、様々な商品に投資されています。

ここ最近、テロの発生や原油価格、ロシア・ルーブルの急落などで、景気の先行きに不透明感が出てきています。このような状況の中では、投資先の金融商品で損をするぐらいなら、元本を確保できる商品に資金を退避させた方が得策という選択がなされます。そこで日本の国債や円が買われるのです。少しわかりずらいのですが、国債の価格が上がると、逆に金利が低下するという関係にあります。
国債の金利が異常に高くなるということは、一時期のギリシャ国債のように、デフォルト(破綻)する可能性が高いということを意味します。(高い金利を付けなければ国債を買ってもらえないからです。)

さて、長期金利のメリットとデメリットですが、まずメリットとしては、住宅ローン金利が低下することです。2015年1月現在、フラット35の金利が過去最低の1.47%になっています。将来の変動金利のリスクを取るぐらいなら長期固定金利で安全を取った方が安心ですし、家を購入される方には今がチャンスかもしれません。もう一つのメリットとしては、国債の償還費用が安くすむことです。日本が抱える借金は1000兆円以上になっています。国債の金利が低下すれば、その分償還に要する予算を抑えることが可能です。これは日銀の狙い通りになっていると思います。

次にデメリットです。これまで金融機関は主に国債を購入することで資金を運用してきました。しかし、ここまで金利が低下してしまうと安定的に運用益を上げることが難しくなります。そこで株式や外国の債券などで運用するわけですが、確実に儲けられる保証などはどこにもありません。したがって、販売する商品の金利を低くせざるを得なくなっているのです。実際に、普通預金の金利が一番高いセブン銀行でも金利は0.05%です。つまり、100万円を1年間預けても利息がたったの500円です。また、保険会社は貯蓄型商品の販売を取りやめたり、販売する商品の適用金利を低下させたりしています。主な生命保険会社は今年の4月以降に募集する一時払い年金保険や養老保険の標準利率を現行の1%から0.5%に下げることを決めています。20年前に私が加入した個人年金保険の適用金利が3.75%ですから運用環境の厳しさを金利が物語っているのです。

こうやって見てみると今の状況は、借りる人にとってはプラス、預ける人にとってはマイナスの状況だと思います。

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