日米金利差拡大の影響と低金利のメリット・デメリット

日米の金利差をチェック

日本の長期金利を表す指標の中で、代表的なものは「新発10年国債」の利回りです。
今日現在(12月21日)の日本国債の10年債利回リは0.062%、米国債の10年債利回りは2.553%となっています。
日銀がマイナス金利を導入して以降、日本国債の10年債利回りはほぼ0%の状態ですが、トランプ氏が大統領選挙に勝利してからは米国債利回りが上昇を続けており、その差は段々と開いてきています。
金利差拡大の影響で為替市場では円安が一気に進み、円安が企業業績へ好影響をもたらすことを期待した投資資金が株式市場に流れ込んで株高にもつながっています。

まず、なぜここまで日本の長期金利が低下したのかの原因ですが、ご存知のとおり日銀が異例の金融緩和のために大量の国債を購入して続けていることが大きな要因となっています。
日銀は、国債を購入して金融市場に資金を供給することによって経済を活性化させようとしているのです。日銀が金融緩和策を続ける間は、長期金利は0%辺りに留まることが予想されます。

長期金利の生活への影響

さて、普通に生活をしていく中では、あまり気にすることもない「長期金利」ですが、実は、貯蓄をしたり、借金をしたりする時には大いに生活に関係してきます。長期金利が低い現状のメリットとデメリットを考えてみます。

まずメリットとしては、住宅ローン金利が低いことです。2016年12月現在、フラット35の金利は1.10%近辺で推移しています。将来の変動金利のリスクを取るぐらいなら長期固定金利で安全を取った方が安心ですし、家を購入される方には金利の低い今がチャンスかもしれません。
もう一つのメリットとしては、国債の償還費用が安くすむことです。日本が抱える借金は1000兆円以上になっています。国債の金利が低下すれば、その分償還に要する予算を抑えることが可能です。これは日銀の狙い通りになっていると思います。

次にデメリットです。これまで金融機関は主に国債を購入することで資金を運用してきました。しかし、ここまで金利が低下してしまうと安定的に運用益を上げることが難しくなります。そこで株式や外国の債券などで運用するわけですが、確実に儲けられる保証などはどこにもありません。したがって、販売する商品の金利を低くせざるを得なくなっているのです。実際に、定期預金の金利が比較的高いセブン銀行でも金利は0.03%(1年)です。つまり、100万円を1年間預けても利息がたったの300円です。また、保険会社は貯蓄型商品の販売を取りやめたり、販売する商品の適用金利を低下させたりしています。主な生命保険会社は募集する一時払い年金保険の販売を取りやめたり、養老保険の標準利率を軒並み引き下げています。20年前に私が加入した個人年金保険の適用金利が3.75%ですから、今の金利が運用環境の厳しさを物語っているのです。

こうやって見てみると今の状況は、借りる人にとってはプラス、預ける人にとってはマイナスの状況だとわかります。ただし、アメリカでは政策金利が引き上げられ、日米の金利差が開いてきている中で、日本の低金利がいつまでも続くとの保証はありません。
普段からアメリカや日本の長期金利をチェックしておくことも、その時々の経済の動きを理解する鍵になります。

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